いやぁ、映画って本当にいいもんですね

映画を観て面白かったところの話をします

シン・ゴジラを観て泣くほど楽しむ精神解説

ところで、ところで、ところで。

皆さんゴジラは好きですか?


大抵の人にとってフェイバリットゴジラとファーストゴジラはイコールです。というかファーストゴジラがラストゴジラの人だって多い。ゴツゴツしていて目はぎょろぎょろ、何を考えているかわからない、神の化身か、スーパーヒーローか、単なる化け物か、その印象もファーストゴジラによってかなり違うんでしょう。

でもそのゴジラとこのゴジラは全然違う。たぶん庵野監督、ゴジラのこと好きじゃない!ウルトラマンの音使ってるし!ゴジラじゃない特撮映画の音楽流してるし!


神の化身でも、スーパーヒーローでも、単なる化け物なんかでもなく、


シン・ゴジラは怒りの塊でした。


映画ファンのロマンチックで偏った妄想を混ぜ込むとゴジラはその怒りは庵野監督がいまの映画界や、映画ファン、映画に関わる人全てに対しての怒りに思えます、携帯でゴジラ撮ってる間に殺されちゃう人たちは、たとえばインスタに何観たかアップするために映画を観るような自称映画通、みたいな薄っぺらさの人たちで、まず最初にこの人たちがたくさん死にます(ここで前田敦子ちゃんがばーん!とドアップになります。いいですね、最高ですね).。

実は映画館でこの辺りから私はこのゴジラ(通称蒲田くんと言われてるやつです)が、まーもー死ぬほど怖くてびびって泣いていました。上に挙げた薄っぺらい人間に、自分もカウントしているからです。


その怒りはどんどん膨らんで、子どもを連れて逃げようとしていた家族や、国を守るために最前線で戦っていた自衛隊員(斎藤工!)まで死んでいきます。あんたたちがバカだから、何もわかんないから、こんな人たちまで死んじゃうんだよ。バカがバカのために観る映画しか作れないから、この国は、この国の映画界は、どんどん壊れていくんだよ。


きゃあああああああ、


ごめんなさいごめんなさい、バカでごめんなさい、王様のブランチで紹介されている映画しか観なくてごめんなさい、なのに映画好きとか言ってごめんなさい。


後悔先に立たず、国はひたすら終わりに近づきます。どうすればいいのか試行錯誤を繰り返すチーム矢口。言ってしまえばライトサイド庵野です。ここで頭を抱える塚本晋也。どうすればいい?どうすれば?


自殺したと思われる博士は日本ではイマイチ名前を聞くことが少ない(でもシン・ゴジラ公開後何故かみんなが名前を口にするようになった)あの偉大な映画監督で、遺した言葉は「好きにやれ」でした。


でもそれが出来る人がどれだけいるっていうんでしょう。


試行錯誤の果てになんとか見出した希望、ヤシオリ作戦が決行される際矢口が皆にかけた言葉は「どうか実行して欲しい」でした。


ここにいる者の生命の保証はできないけれど、この国の最大の力はこの現場にあり、この国を守る力を持った最後の砦はあなた達なのだと、

この言葉が、東宝が近年稀にみる予算をかけて作られたらしいシン・ゴジラに携わる人々へ向けられたものなのでは、と、思いたくなっちゃうのはいきすぎですか?

許してください、韓国ドラマすら面白く観られる気がしてきた年頃です。脂すらのらず湿気を外注しないと紙もビニールもめくれません。ババアなんです。


ありとあらゆるものが壊された世界で、それでも建て直せると言い切った赤坂さんと、一旦は凍結したゴジラで終わるこの映画を観て、私たちは、きっと、この国(の映画界)を建て直し、ゴジラが目覚めない世の中に、していくんだ、しなければならないんだ!と、

拳を握り、エンドロールが終わり、

その週の王様のブランチ鑑賞は、見送りました。


いやぁ、映画って本当にいいもんですね。